北野武、喝! 『アウトレイジ 最終章』に学ぶ現代社会に生きるとは
耳が痛いです
2017年10月07日(月曜)から公開されている『アウトレイジ 最終章』はご覧になられましたか。『アウトレイジ』『アウトレイジビヨンド』そしてついに今作で完結となります。
インタビュー中の名言をまとめました。
「今回一番心配したのは、西田敏行さんと塩見三省さんの体の具合。衣裳合わせの時から心配してたんだよね。でも、役者はすごいね。撮影始まったらみんなビシっとなって、台詞も芝居も完璧。“舞台”に立つときには変なところは見せないんだから。西田さんなんかはいつも以上にアドリブが多くて、カットするのが大変だったんだよ(笑)」
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役者魂を感じますね。とくに塩見三省が痩せられて心配でしたがそこはさすがベテランですね。塩見三省は2014年に脳出血で倒れてしまいましたが見事にカムバックしています。映画『12人の優しい日本人』では気の弱い陪審員の演技が印象的だったのでアウトレイジビヨンドでのキレっぷりと巻き舌にはびっくりしました。塩見三省が一番怖かったです。 西田敏行は大好きな俳優なのですが彼が登場するとどうしても笑っちゃうのです。沢田研二主演の『太陽を盗んだ男(1979)』ではサラ金の取り立て屋を演じているのですが全然怖くないのです。そう演技してくださいと監督に言われたのかもしれませんがなんかもう居るだけでクスクスしちゃうのです。
「バイオレンスやヤクザ映画はVシネ以外では扱わないような時代に、ちゃんとした役者で撮ればいいものができると考えて、あえて人気のないジャンルに挑戦した作品でね。俺がバイオレンスを好きだってものもあるし。その専門になって、深作監督の『仁義なき戦い』シリーズみたいにヒットを飛ばし続けていくのもいいと思うけど。ただ、これだけを続けるわけにもいかない。実は2本目の『アウトレイジ ビヨンド』の脚本を書いている時には3本目を想像して書いて、ほぼ出来上がっていた。とりあえず今のところは3本に収めたんだよね。何年か後にみんな生きてりゃ、また役者オールスターズで豪華なヤクザ映画をやりたいって気持ちもあるよ」
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上記の事は別のインタビューでも読みました。北野武監督は『仁義なき戦い』をけっこう意識なされています。するどいのがヤ○ザ映画が人気のないジャンルと認識した上で『アウトレイジ シリーズ』を制作された事ですよね。どうでしょうか。しかしながら北野武監督は余りにも多くのバイオレンスな映画を盗られて人気もあるので彼の口から「人気のないジャンル」と出てきても最初はピンときませんでした。しかし『アウトレイジ』を観た後の感想は「いままでの北野バイオレンスとは違う・・」でした。テンポが良く余計なものを全部カットした感じが伝わり楽しめました。あれだけ大勢の役者が出演しているのにゴチャゴチャしていないのも北野武監督が巨匠といわれる所以でしょうね。別のインタビューで読んだ記憶がるのですが「編集している時が一番たのしい」だそうです。また編集に数学の要素も取り入れていると読みました。
「ヤクザの世界といっても、拳銃と暴力を除いてしまえば一般実社会の話になるんだよね。派閥や裏切りとか、いきなりとんでもない奴がコネでやってきたり、ちゃんとやってきた奴が理不尽に外されたり…。1本目は分かりやすいヤクザらしい話。2本目は人間関係。3本目は、完全に社会や組織のゆがんだ形の話になった。実際日本でもよくあることだよね。意識して作ったわけではないけど、そういうストーリーになった。しょせんヤクザも一般実社会と同じなんだってね」
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言葉を返せば一般実社会の方が怖いということですよ。実社会では飛び道具なんて使われませんがその分別の力で人の人生をめちゃくちゃにしますもんね。人とその方のご家族をどん底に突き落としておいて判決が50万円の支払いというひどいニュースが最近ありましたよね。そんなクソ司法クソ企業クソ人間の塊である一般実社会よりもヤ○ザの世界のほうが何かすっきりしている感じがしてきました。それだけ一般実社会が酷いあまりにも酷いのでしょう。
「闘うっていうか、ずっとイライラしているのは、何年もかけて作られた今の日本のシステムかな。いろいろ組織や団体があるけど、既得権益ばかり考えられてる。映画でもなんでも、独立プロなんかははじきとばされるようなシステムになってて、コネでできている部分もあるし、マヌケな奴らにヨイショしなきゃいけないこともある。そういうシステムが出来上がっちゃってて、新しく参入するには相当なパワーがいる社会になってるよね。『みなさんのために私はこういうカタチを壊してやります』っていう気はさらさらないけど、自分のために壊していきたいってことだよね。そういうのは自分で勝ち取るものだから。これからも映画の作り方が少しずつ変わっていって、いい映画界になることを期待してるよ」
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バカ野郎にヨイショするのは大変です。私はヨイショいやなのでどんなバカ野郎でもそいつの良い部分をみつけて褒めるのですが「あー?」って感じで理解してもらえませんね。もういいです。日本だけならず映画の都ハリウッドでも上下関係だけでなく肉体関係やら既得権利なんてあたりまえですよね。金と権力と女ですかはいわかったよもういいよ。ただ私としては映画は楽しく見れればそれでいいと思っています。どこの社会もクソ野郎だらけなのは当たり前でいやですよね。ちがいますか。
「まぁ、泳いでいる魚を偉いねって褒める奴はいないよ。努力しているわけじゃないけど、ただ“サメみたいに泳ぐのをやめたら死ぬ”みたいなもんだ。でも無理して泳いでいるわけでもない。若い奴と話してるといつの間にかお笑いのネタの話になってるし、家に帰って映画の脚本書こうかなって思うとタイトルだけ書いて終わる日もある。王貞治さんも長嶋茂雄さんも夜中にバット振っていて、それがすごいって言われていたけど、本人は『バット振らなきゃ寝られねえんだよ』ってくらいのもんなんだよね。例えばさ、徹夜するくらい麻雀が好きな奴は“徹夜で麻雀やれるような仕事”を見つければいいんだよ」
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“徹夜で麻雀やれるような仕事”を見つければいい、は名言。北野武監督は例えが面白くもあります。昔の話になりますが世の中やたらレモンブームで「1粒でレモン3個分のビタミンCが!」「これを飲むだけでレモンと同じビタミンCが!」という商品ばかりでした。それに対して北野武監督は「ビタミンCなんていらねぇからよ 1粒でカツドン2杯分の!っての作りやがれ!」と毒づいていました。笑って感心してしまいました。
「まぁ、“楽しい”にもいろいろあるよ。サウナも入っている時は苦しいけど、出た時は涼しくて気持ちいい。重量挙げもマラソンも楽しいかって聞かれたら「苦しい」って答えるけど、後から考えたら楽しいなってこともある。“苦しい楽しさ”もあるんだよね。でも、楽しく生きるってのはどうも分かんねえ。一番楽しいのはきっと、くたばる時だと思ってるんだ。死ぬときが一番楽しい。この世に生まれて生きていることは、かなり苦痛だし、罰だと思ってる。“誰よりも楽しく生きてるように見える”なんて言われても、それはヤケクソだからさ。『いつでもくたばってやるぜ』って思っていからだろうね」
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仏様もおっしゃってますものね生きるのがこの世が苦そのものだと。真理だと思います。
「30代・40代の男ってのは、それこそ差がついてくる頃なのかな。勝ち負けが分かってくるような世代なんだろうな。その世代の男達へのメッセージは、”あらゆる責任は自分が負うもの”で、人のせいにしないってことだろうね。自分がツイてないと嘆くんじゃなくて、それは実力がないってことだよ。俺らは芸人だから『漫才してても売れないんです』『お前が下手だからだろ』、それで終わり。チャンスが無いとかいろいろ言う奴もいるんだけど、チャンスを掴むのだって実力だよ」
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チャンスも実力のうちとはよく言ったものです。売れる売れない勝ち組負け組これらはもう皆様が生まれる前から決められていた運命(さだめ)なのかなと時々思います。だってイケメンに生まれてきたやつとそうじゃないヤツではやっぱり同じような家庭環境や教育環境で育っても女からチヤホヤされるのが違いますよね。それってもうイケメンも実力のうちなのでしょう。「イケメンに産まなかった両親が悪い」と人のせいにしてはいけないですよね。ちがいますか。そのご両親のまたご両親がと考えていくと宇宙誕生まで遡るわけです。売れないのをうけいれるのも人生。負け組で生きるのも人生ではないでしょうか。ただしそういう人達をバカにするやつらは許せませんね。
「実力をつけるためには…努力しているって、自分で感じているうちはダメだと思うよ。人から“よく努力していますね”って言われても、俺は『馬鹿なこと言うなよ』って思っちゃうよね。自分では努力しているとはまったく思ってないんだから。後から考えりゃ、漫才のノートはいつも持ち歩いて何かあるとすぐ書き込んでたし、それを人が見りゃ努力に見えるかもしれない。でも、ごはん食べたり水飲むのと同じようにギャグを考えていただけだ。それを努力というのはおかしな話でね。今の若手はそれもせずに「どうして…」っていうから。言葉としては「努力しろよ」って言う場合もあるけど、それは努力じゃなくて“当たり前のこと”をやっていないだけなんだよね」
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アウトレイジ最終章 全員暴走 おもしろそう。
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